

パーキンソン病の表情筋リハビリ|顔の体操で誤嚥予防と笑顔を守る

パーキンソン病になると、飲み込みにくさや声のかすれに加えて、顔の筋肉がこわばり、表情が乏しくなる「無表情(仮面様顔貌)」が見られることがあります。表情がなくなると人に気持ちが伝わりにくくなり、誤嚥のリスクや会話のしづらさに加えて、気持ちまで沈みがちになる方も少なくありません。表情を取り戻すことは、単に顔の印象を変えるだけではなく、人との交流を温かくし、自分らしい毎日を送る大切な力になります。
目次
なぜパーキンソン病に表情筋体操が大切なのか

パーキンソン病では、顔や口の周りの筋肉が硬くなり、思うように動かせなくなることがあります。その結果、表情が乏しくなり笑顔が減るだけでなく、声が小さく弱々しくなり、飲み込みもスムーズにいかなくなります。こうした変化は、誤嚥による肺炎のリスクや食事のしづらさにつながるだけでなく、人との会話がぎこちなくなり、孤独感を深めてしまう要因にもなります。
しかし、表情筋を意識的に動かす体操を取り入れることで、こうした悪循環を軽減することができます。顔や舌の筋肉をほぐし鍛えることによって、嚥下や発声の機能を守るだけでなく、自然な笑顔を取り戻す手助けになります。笑顔が増えると会話が弾み、孫や家族との食卓もより楽しいものに変わります。表情筋体操は、誤嚥予防やリハビリの一環であると同時に、日常生活に安心や喜びを取り戻す手段の一つです。
表情筋体操を始める前の準備と注意点
表情筋の体操を行うときは、まず顔全体をリラックスすることが大切です。口角や頬、額などを強張らせず、自然な状態から始めましょう。
動作は「大きく・ゆっくり」と意識し、笑顔を作るときや口をすぼめるときも、力を入れすぎないようにしてください。痛みや強い違和感を覚えた場合はすぐに中止し、調子の良いときに再開するようにしましょう。また、鏡を見たり、ご家族に確認してもらったりしながら行うと、口角の動きや目の開き方を確認でき、より正確に取り組むことができます。
表情筋を鍛える口腔・顔の体操【動画紹介】
パーキンソン病の方に向けた表情マッサージ(約8分)
顔のこわばりを和らげ、表情を豊かにするためのマッサージ方法です。深呼吸から始まり、唇・頬・顎・目の周りをマッサージして顔全体をリラックス。約8分かけて顔の筋肉を優しくほぐすことで、口角を上げやすくしたり、コミュニケーションを円滑にしたりする効果が期待できます。
動画の内容:
- 深呼吸でリラックス
- 唇・頬・顎・目の周りをマッサージ
動画② 表情筋トレーニングで豊かな表情に(約4分)
顔の表情筋をダイレクトに鍛える体操をまとめた動画です。目を大きく見開いたり閉じたりする動き、口を膨らませたりすぼめたりする動き、口角を上下に動かす練習など、日常生活で使う筋肉をバランスよく刺激できます。飲み込みや滑舌の改善だけでなく、自然な笑顔を取り戻すきっかけになる内容です。
動画の内容:
- 目を大きく開ける・閉じる・ウインクする
- 口の中に空気をためて膨らませる
- 口をすぼめる
- 口角を上げ下げする
- 鼻の穴を広げたり閉じたりする
毎日続けるためのコツと工夫
表情筋体操は、1回数分でできる短い内容なので、食事前や朝の身支度の時間などに習慣として取り入れると続けやすくなります。鏡を見ながら笑顔を意識すると効果が実感しやすく、日々のモチベーションにつながります。
実践によって期待できる変化と生活のメリット
続けていくことで、飲み込みがスムーズになり誤嚥を予防できるほか、声がはっきりし、滑舌が良くなる効果が期待できます。さらに、表情筋が活性化して笑顔が増え、人との会話や交流がより楽しくなる効果もあります。
まとめ|表情筋体操で笑顔と嚥下の元気を守ろう

パーキンソン病のリハビリには、口や舌だけでなく表情筋を鍛えることも欠かせません。今回紹介した2つの動画は、短時間で取り組める実践的な内容です。毎日の生活に少しずつ取り入れて、誤嚥予防とともに、表情豊かな笑顔を取り戻していきましょう。
ご紹介Youtubeチャンネル
言語聴覚士による口腔体操とリハビリ体操のYoutubeチャンネル
専門職の視点で、無理なく、効果的に取り組める口腔・発声体操を多数公開しています。
ご本人だけでなく、ご家族や施設職員の方にも役立つ内容です。ぜひ一度ご覧ください。
口腔体操 言語聴覚士による口腔体操とリハ体操
https://www.youtube.com/channel/UCf1T7nad4qYflsiMJxtSZFg
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