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パーキンソン病の基礎

症状別ケアと対策

パーキンソン病でよくみられる運動症状と非運動症状を解説!重症度と併せてご紹介

パーキンソン病の主な症状をご存知でしょうか。

本記事では、手足の震えや姿勢保持困難などの運動症状と、睡眠障害や便秘などの非運動症状について詳しく解説します。

また、パーキンソン病の進行度を示す重症度分類(ホーン・ヤール分類)や要介護度もあわせて紹介します。症状の進行や重症度を知り、今後の療養やケアの一部に取り入れていきましょう。

記事の中では、在宅で生活するパーキンソン病の療養者や介護者のみなさまから頂いたお声も紹介いたします。

パーキンソン病の症状や進行について詳しく知りたい方は、こちらを最後までお読みください。

運動症状と非運動症状

パーキンソン病の症状は「運動症状」と「非運動症状」の大きく2つに分類され、運動症状は、運動緩慢・無動、振戦、筋強剛、姿勢保持障害といった4大症状が広く知られています。

一方、非運動症状は、体内の臓器の働きや感覚・精神に関わる症状で、消化器症状、睡眠障害、精神症状、排尿障害、自律神経障害、痛み、疲労があります。

非運動症状は、運動症状よりも10~20年早く発現しているといわれているものの、症状が悪化するまで受診行動や対策に結び付きにくく治療開始が遅れることも多いため、運動症状と共に非運動症状への理解を深め、適切にケアや治療を始めることが重要なのです。

パーキンソン病の運動症状

パーキンソン病は、脳内のドパミンを生成する細胞が減少することで引き起こされます。運動症状の主な症状は、手足の震え、バランスの悪さ、筋肉のこわばり、動作の遅さなどです。症状の進行には個人差があるため、早期発見と適切な治療が重要となります。

出典|参照:Parkinson病の新しい理解―非運動症状を含めて―はじめに|国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)

運動緩慢・無動

運動緩慢・無動は、体の動きが遅くなり、少なくなる症状です。動き始めるのに時間を要し、動きも緩慢になります。

また、まばたきの回数が減少し表情が乏しくなっていき、歩行がすり足気味になる、文字が小さくなるなどの症状も現れ、日常生活のあらゆる場面に影響が出てくることがあります。

運動緩慢・無動は、前述のような症状に共通する部分も多くありますが、特徴的なのは顔の筋肉がこわばり表情が乏しくなるといった症状です。

表情が乏しくなると感情が伝わりにくくなるため、ご家族など周囲の人々とのコミュニケーションがとりづらくなります。そのため、鏡を見ながら表情筋のトレーニングを実施したり、歌を歌うなど声を出しながら表情筋の動きを意識したりして顔の筋肉を使い、楽しく症状改善に向けて取り組むことが大切です。

「お笑いが好きだからいつも見て笑ってるよ。楽しくリハビリ!!」
「アイドルのコンサートをいつもみるの。歌って踊る!」

日常的に声を出す、歌う、笑うという表情筋や全身を使う動作を楽しんでみてください。ドパミンの分泌が促されることもあります。心と体で色々な運動を楽しんでください。

出典|参照:パーキンソン病(PD)の基礎知識と療養のポイント2.パーキンソン病の主な症状|兵庫県難病相談センター

振戦

振戦は、パーキンソン病の特徴的な症状の一つで初期に最も多く現れます。主に手や足が、1秒間に4~6回程度の速さで規則的に震えます。

安静時に現れ、動作を始めると一時的に治まること、ストレスや疲労で強くなることが特徴です。

「震え出したら止まらないの。誰か助けて今日は休ませて、っていつも思う」

疲れている時に振戦が続くことで筋肉や関節に過度な負担がかかり、痛みや疲労が起こります。また、安静時に起こると休息の妨げとなってしまい精神面でも大きな負担となっています。

生活面では、主に食事や着替え、歩行などに影響があり、食事では、手が震えるため食器を持ちにくくなり、食べ物を口に運ぶのにも支障が出ることがあります。特に味噌汁などの汁物をこぼしやすくなります。

衣服の着替えでは指先の震えでボタンを留めたり、靴紐を結んだりする細かい動作が難しくなることがあります。

身近な対策としては、持ち手の大きいスプーンやフォーク、角度のついたお皿など(食事補助器具といいます)を活用すると安定したお食事ができます。衣服の着替えでは、ボタンや紐のある洋服ではなくファスナーやマジックテープの洋服を着用するとよいでしょう。

出典|参照:パーキンソン病に伴う症状(運動症状について)安静時の振戦(ふるえ)|独立行政法人 国立病院機構 宇多野病院

筋強剛(筋固縮)

筋強剛固縮は、筋肉が固くなり、スムーズな運動が困難になる症状です。

他者が腕や足を動かそうとすると、関節がカクカクと動く「歯車現象」や、可動域の範囲でほぼ一定の抵抗を感じる「鉛管様現象」が見られます。この筋肉のこわばりにより、日常生活動作が制限され、特に書字や調理、爪切りなど微細な手指の動作に影響を及ぼします。

筋強剛による動作の遅れやぎこちなさは、特に腕や脚、首や背中の筋肉に現れ、振戦や姿勢反射障害と同じような場面で、日常の基本動作に不便やストレスを感じやすくなります。

また、筋肉が緊張した状態が続きやすく休まらないため疲労感を感じやすく、疲労が抜けにくいという特徴があるため、こまめな休息をとってください。

普段から、柔軟性を高めて動きをスムーズにするために、無理のない範囲でストレッチを行うと筋肉のこわばりが軽減できます。

また、撫でるくらいのマッサージや温かいお風呂に入ると血液の循環が促進され、筋肉をリラックスさせる効果があります。

出典|参照:筋緊張の評価と治療 緊張異常とその病態|国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)

姿勢保持障害

姿勢保持障害は、パーキンソン病の進行に伴って出現する症状です(早期からの発生頻度は低いため、近年4大症状からは除外)。体のバランスを保つことが困難で、転倒しやすくなります。特に後ろ向きに転びやすく、左右どちらかに症状が強く現れます。

この症状が進行すると、転倒時に大きく転んでしまうため、骨折(特に手関節・肘や大腿骨などが挙げられます)しやすく、骨折後は歩行や日常生活動作に介助が必要となることが多いため、生活環境やリハビリテーションの見直しを検討してください。

「最近家の中でよく転ぶの。今まで大丈夫だったのに、敷居に足がひっかかってね。」

パーキンソン病では早期から姿勢反射障害が起こることは稀だと言われています。そのため、日頃からバランス、筋力の低下をきたさないように運動習慣をつけておくことがとても大切です。

よく転倒するようになった時は要介護度の見直しや申請、主治医への相談や専門家によるリハビリの検討などを始めましょう。

姿勢保持障害により椅子やベッドから立ち上がろうとする場面や、部屋から廊下に出る場面など、ちょっとした上下左右の運動でバランスを崩しやすくなります。また、バランスを保ちにくくなることで、段差の把握が難しくなったり、静止状態を保持しにくくなるなど、日常の動作に広く影響を及ぼします。

室内は動ける場所を広く確保して、とっさにバランスを崩した時に備えましょう。

バランス感覚を改善するためには、リハビリテーションやトレーニングで体幹を強化して筋力を鍛えることが推奨されます。また、ヨガや太極拳などで心身共にリラックスできるようなトレーニングを取り入れることは、精神的な安定にも繋がります。

出典|参照:パーキンソン病に伴う症状(運動症状について)姿勢の不安定性|独立行政法人 国立病院機構 宇多野病院

パーキンソン病の非運動症状

パーキンソン病には、運動症状以外にも様々な症状があり、これらを非運動症状と呼びます。自律神経障害、精神症状、睡眠障害、感覚障害、行動障害などがよくみられる症状です。

運動症状よりもかなり早期(10~20年)から現れていることが近年の研究で明らかになってきています。

出典|参照:Parkinson病の新しい理解―非運動症状を含めて―はじめに|国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)

消化器症状

パーキンソン病では、消化管を動かす自律神経に障害が起き、便秘、嚥下障害、流涎などの消化器症状が現れます。

まず便秘は、パーキンソン病の療養者の多くに見られる症状です。

パーキンソン病を発症する前から、すでに便秘になっているケースもあります。便秘の対策としては、服薬と生活改善が挙げられます。薬については、主治医に相談すると便秘薬を処方してもらえることがありますので、服用の指示に従いましょう。

生活改善については、少なくとも2~3日に一度は排便できるよう、食物繊維と水分を積極的に摂取したり、適切に運動をしたりすることが大切です。

次に嚥下(えんげ)障害とは、物が飲み込みにくくなる障害のことで、飲食をする時にむせたり、薬を飲むのが大変になったりします。

パーキンソン病の進行と共に嚥下障害も進行し、食べ物が誤って気道に入る誤嚥や、それによる窒息が起こる可能性もあるため注意が必要です。嚥下障害の対策として有効なのは、食べ物を飲み込みやすい状態で用意することです。

小さく切る、とろみをつける、薬はゼリーで包むなどすると、飲み込みやすくなります。パンや餅など喉の奥にくっつきやすい食材を避けることも大切です。また、食べるペースや姿勢も重要です。

急いで食べるのではなく、少しずつ口に入れ、確実に飲み込んでから次の一口を食べましょう。腰が曲がっていると顎が前に出て飲み込みにくくなるので、椅子に深く座り顎を引くようにしてください。

最後に流涎(りゅうぜん)とは、口からよだれが出てしまうことです。

嚥下障害でつばを飲み込めなくなるうえ、姿勢が前かがみになったり口をしっかり閉じられなかったりするため、よだれが垂れます。流涎対策としては、ガムをかんだり飴をなめたりすると、自然とつばを飲み込めるので効果があります。日頃から意識的につばを飲み込むことや、姿勢に気をつけることも大切です。

出典|参照:パーキンソン病の療養の手引き|厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)神経変性疾患領域における基盤的調査研究班

(参照ページ:p11「Q2 消化器症状にはどのようなものがありますか?」、p94「Q13 便秘対策で注意することはありますか?」、p34「Q7 パーキンソン病患者の嚥下障害の特徴は?」、p72「Q2 飲み込みのリハビリテーションについて教えてください。」、p10「Q1 口から唾液が漏れてしまうのはどうしてですか?」、p75「Q2 流涎の治療にはどのようなものがありますか?」)

出典|参照:パーキンソン病診療ガイドライン2018|一般社団法人 日本神経学会

(参照ページ:p49「QandA 5-16 便秘の治療はどうするか」)

睡眠障害

睡眠障害は、パーキンソン病の60%以上にみられる症状です。

不眠、日中過眠、むずむず脚症候群、レム睡眠行動障害など多様な形態があります。具体的には、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒などの不眠症状や、日中の過度の眠気、突発的睡眠などがあります。レム睡眠行動障害も特徴的な症状の一つといえるでしょう。

睡眠障害は、日中の活動の低下を招くだけでなく、慢性的な疲労や不調を感じたり、精神的に落ち込みやすくなる可能性があります。そのため、浅い眠りが継続したり、何度も起きたりしてしまう場合は、単なる寝不足として捉えないようにしましょう。

熟睡できるように、毎日の就寝時間を決めたり、日中に適度な運動をして、リラックスできる音楽を聴くなどの自律神経を整える方法があります。また、日中に日光浴をしてセロトニンの分泌を促すと、リラックス効果や睡眠の質を上げる効果が期待できます。

疾患が進行すると体勢が変えにくく寝返りがうちにくくなるため、睡眠がさらに浅くなる方もいらっしゃいます。介護者と時間を決めて体の向きを変える介助と排泄の誘導を行うのも方法の一つです。

とはいえ、睡眠の質をコントロールすることは難しいです。睡眠の状況に合わせた睡眠導入剤などを主治医に相談してみてください。

近年では介護施設や病院でべッドに取り付けられたセンサーを通じて、非接触型で睡眠中の身体の動きや呼吸、心拍数をモニタリングできるシステムがあります。

出典|参照:Parkinson病の新しい理解―非運動症状を含めて―4.睡眠障害|国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)

精神症状

パーキンソン病における精神症状には、認知症やうつなど疾患自体に起因する症状と、衝動制御障害などがあります。その他にも、不安、アパシー(無気力)、幻覚、妄想などが挙げられ、特に抑うつ症状はパーキンソン病の初期から経験する療養者が多く、パーキンソン病の診断前に精神科を受診している方もいらっしゃいます。

疾患が進行すると、徐々に幻覚(特に幻視と言われるそこにない物や人が視える)や妄想(その物事に対して根拠はないが確信をもって信じてしまう)を経験します。

これらの症状は、療養者や家族のQOL(生活の質)や生きがいに大きな影響を与えるため、早期発見と受診相談・治療といった適切な対応が必要です。

幻覚や幻視は療養者本人にも過度なストレスとなります。家族や介護サービス担当者は本人の言葉を受け入れている、理解しているという姿勢が大切です。過度な否定は行わず、疾患の症状として周囲が捉えていることを伝えてください。症状の増減を本人から聞き取り、受診時に主治医に相談し、治療薬の調整を行います。

また、幻覚や幻視は本人にとって必ずしも有害な症状とも限りません。例えば部屋の隅にかわいいうさぎが見える等、本人に影響を及ぼさない場合は無理に治療を行わない場合もあります。

日頃から状況を確認し正確に主治医へ情報提供を行うことが重要です。

出典|参照:Parkinson病の新しい理解―非運動症状を含めて―3.精神障害|国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)

排尿障害

パーキンソン病では、排尿にかかわる神経系の働きが悪くなって、排尿障害が生じることがあります。特に多い症状は、夜に何度も排尿をする夜間頻尿です。

ほかにも、日中の排尿回数が多い頻尿や、排尿してまたすぐ排尿したくなる尿意切迫など、いわゆる過活動膀胱の症状が見られます。何度もトイレに行くことは日常生活の大きな妨げとなるだけでなく、夜の排尿回数が多いと睡眠障害にもつながるので、適切な治療や生活の工夫が必要です。

排尿障害で困っている場合、過活動膀胱を抑える薬を処方してもらえることがあるので、主治医に相談してください。ほかには、骨盤底筋のリハビリといった、薬物によらない治療手段もあります。

夜間頻尿となる排尿回数の目安は、一晩につき、男性の場合は3回以上、女性の場合は2回以上です。夜のトイレの回数を減らせるよう、夕食後は水分を控えるようにしましょう。

夕食時までは、気にせず水分をとってかまいません。尿意を抑えたいからといって水分の摂取を避けると、尿路感染症になりかねないので注意してください。

出典|参照:パーキンソン病の療養の手引き|厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)神経変性疾患領域における基盤的調査研究班

(参照ページ:p12「Q4 排尿障害にはどのようなものがありますか?」、p76「Q5 排尿障害に対する治療にはどのようなものがありますか?」、p96「Q16 排尿後に残尿感があり、トイレが近くて(特に夜間)困っています。工夫することはありますか?」)

出典|参照:パーキンソン病診療ガイドライン2018|一般社団法人 日本神経学会

(参照ページ:p46「QandA 5-15 排尿障害の治療はどうするか」)

自律神経障害

自律神経障害は、自律神経系の広範な変性が原因とされており、パーキンソン病の発症前や初期段階から出現することがあります。

発汗障害、体温調節障害、冷感、起立性低血圧(食事性低血圧を含む)などが代表的な症状です。特に便秘は高頻度に見られ、腸管運動の低下が主な要因とされており、便秘や頻尿は長期化することで生活の質を損なう原因になります。

例えば便秘でいえば消化管の運動低下により便秘が悪化するとイレウスなど重篤な合併症を引き起こす可能性もあり、頻尿に関しても、膀胱炎などの尿路感染症といった合併症を引き起こす可能性もあります。

また、夜間の排尿増加により睡眠の質を損なうことで、睡眠不足による疲労感や不調に繋がり、昼間の活動に影響を及ぼすので症状が続いた場合には受診が必要です。

自律神経障害は、急に汗が出たり、まったく汗が出ないなど発汗異常の症状が見られたり、立ち上がった時に目まいやふらつきを感じる起立性低血圧など、療養者やサポートする周囲がとても悩む症状の一つです。

こまめに水分を補給したりベッドサイドに水分を置いておく、通気性の良い衣服を着用する、飲み込みにくさに応じて食品の硬さを検討したり一口大にするなど、症状に合わせた生活スタイルや工夫と症状が悪化しないような無理のない生活習慣への変更が必要になります。

起立性低血圧では介助者が症状の有無を把握し、声掛けに対する反応が悪い場合や、いつもと様子が違う場合には血圧の確認・下肢の挙上等即座に対応できる体制を整えておくことも重要です。

「午前中に散歩するのが退職後の日課だったけど、動きにくいし血圧が低いって言われて午後からに変えた。午後から散歩するのは、もう2年になるかな」

こうして初期の段階で生活習慣を見直すことで活動を習慣化することができます。

出典|参照:Parkinson病の新しい理解―非運動症状を含めて―6.自律神経障害|国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)

痛み・疲労

痛みも、パーキンソン病の症状の一つです。特に多いのは腰や下肢の痛みですが、肩や腕が痛むほか、痛い場所が特定できないケースもあります。筋肉や関節がずきずきと痛んだり、内臓がチクチクと痛む感じがしたりと、痛み方は様々です。

痛みはパーキンソン病の運動症状に由来します。筋肉が固くなり姿勢が不自然になったり、手足が震えて筋肉や関節に負担がかかったりすることで、痛みが生じるのです。ほかには、パーキンソン病の治療薬が関係する痛みもあります。薬の効果が切れて痛みに敏感になると、強い痛みを感じるという仕組みです。

痛みがある場合は、まず主治医に相談をします。薬の効果が切れた時の痛みを改善するために治療薬を調整してくれることがありますので、医師の服薬指示に従ってください。

日常生活でできる対処法としては、マッサージやストレッチをする、温めるあるいは冷やすといった方法が挙げられます。医師の指示を仰ぎ、適切な対処法を実践しましょう。理学療法士の指導のもと、姿勢改善のリハビリに取り組むことも効果があります。

また、パーキンソン病では疲労感やだるさが生じることもあります。抑うつ症状に伴って精神的な疲労を感じたり、震えや筋肉の緊張により体が十分に休まらず、身体的な疲労が現れたりするのです。

睡眠障害も疲労感と関係があります。うまく眠れないと体の疲れがとれず、慢性的な疲労状態が継続してしまうわけです。排尿障害で夜のトイレの回数が多い場合も、睡眠不足から疲れを感じやすくなります。

疲労についても主治医に相談すれば、治療薬を調整してもらえます。日常で工夫するといいのは、生活リズムを整えて睡眠を改善することです。日中は適度に運動し、夜は十分にリラックスしましょう。できるだけ疲労を解消できるよう、睡眠の質を上げる取り組みが求められます。

出典|参照:パーキンソン病の療養の手引き|厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)神経変性疾患領域における基盤的調査研究班

(参照ページ:p22「Q2 身体のどのような場所に痛みが起こるのですか?」「Q3 痛みの原因は何ですか?」、p85「Q1 パーキンソン病による痛みはどのように治療をすればよいでしょうか?」、p86「Q2 腰痛が強いのですが、注意することは何でしょう?」、p23「Q1 疲れやすいのですが、パーキンソン病と関係がありますか?」、p86「Q3 パーキンソン病による疲れはどのように治療をすればよいのでしょうか?」)

出典|参照:Parkinson病の新しい理解―非運動症状を含めて―6.自律神経障害|国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)

(参照ページ:p5「7.感覚障害」)

ホーン・ヤールの重症度分類と症状

以下で紹介する分類法は、パーキンソン病患者の症状の程度を5段階で評価し、治療方針の決定や経過観察に用います。

各段階の特徴は、症状の広がりや日常生活への影響度によって区分されており、医療従事者と療養者、家族間での病状の共通認識を形成するのに役立ちます。

重症度によっては同じ運動症状や非運動症状でも症状の頻度や強弱が異なるため、医師の診断のもと正しい対応が必要です。

患者様ご自身と周囲の方々が同じ理解でパーキンソン病に向き合うことが、症状の維持・軽減に繋がる第一歩になります。

パーキンソン病の症状を正しく理解しよう

パーキンソン病の運動症状と非運動症状は、いずれも患者の生活に大きな影響を与えます。症状の種類や程度は個人差が大きく、また進行も一様ではありません。早期発見と早期の治療開始により、症状の進行を遅らせ身体機能の維持を図りましょう。

パーキンソン病は、療養者本人と介護者を含めた周囲の人とのパーキンソン病への理解が大切です。

パーキンソン病の療養者と介護者には、医療や日常生活上の問題が長期にわたって多種多様に現れ、疾患の進行と共にQOL(生活の質)の維持が難しくなっていきます。正しい知識や最新の治療の状況を知り、定期的に現状について相談しあうことで、療養者と介護者双方にとって困りごとの少ない時間の確保を目指しましょう。

「パーキンソンなんて難しい病気になって、独りで病気に向かっていかないとって思い込んでた。でもケアマネさんと看護さんが家に来てくれて、もっとお互い言い合いましょうって言ってくれたの。すごく楽になったの。」

どこかで症状や疾患に悩んでいる方がいらっしゃったら、今が話し出すタイミングです。近くにいる誰かに声をかけてみてください。

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