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パーキンソン病の知識

公的支援と制度活用

パーキンソン病における障害者手帳の申請方法やメリット・デメリットを解説

パーキンソン病における障害者手帳の申請方法やメリット・デメリットを解説

パーキンソン病は進行性の疾患であり、運動症状と非運動症状の両方によって日常生活全般に影響を及ぼします。身体のさまざまな症状に応じて取得できる障害者手帳は、パーキンソン病をお持ちの患者さまやご家族の生活の負担を軽減し、より安心して暮らすための土台となる重要な公的制度です。

障害者手帳は年齢に関係なく取得でき、介護保険や難病受給者証と併用して活用可能です。取得することで、税金の控除や医療費の助成といった公的支援を受けられる可能性があり、経済的な負担軽減が見込めます。この記事では、パーキンソン病で障害者手帳を取得するための手続きの流れや、制度を利用するメリット、知っておくべきポイントについて詳しく解説します。

障害者手帳の種類と等級

障害者手帳とは、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類の総称です。このうち、療育手帳は知的障害の方が取得できる手帳でパーキンソン病患者は対象外となるため、パーキンソン病で取得できる可能性があるのは、身体障害者手帳と精神障害者保健福祉手帳の2種類です。

なお、身体障害者手帳と精神障害者保健福祉手帳は症状に応じて併用できます。パーキンソン病による運動症状は身体障害者手帳の対象に、非運動症状は精神障害者保健福祉手帳の対象になることが多いため、両方の手帳について知っておくとよいでしょう。

身体障害者手帳の等級と目安

身体障害者手帳は障害等級に応じて交付されます。障害等級は障害の程度が重いほうから1~7級に分けられ、このうち1~6級までが身体障害者手帳の交付対象です。
パーキンソン病の患者さまの場合、主に肢体不自由の度合いに応じて障害等級が決められることが多く、高い等級ほど医療費助成や福祉サービスの範囲が広くなります。この障害等級は、障害基礎年金の等級とは異なりますが、障害等級による支援内容と障害基礎年金の等級は関連づけられています。

なお、身体障害者手帳は原則として更新の必要はありませんが、症状が変動したときなどには再認定が実施されることがあります。身体障害者手帳を取得すると、等級に応じて以下の表のようなさまざまな支援を受けることが可能です。

パーキンソン病における等級の目安と支援内容

障害等級等級の目安
(パーキンソン病に関連するもの)
支援内容
1級・両腕がまったく使えない(自分の意思で動かせない)
・両脚がまったく使えない(立つなどの動作ができない)
・座っている姿勢を保てない
・障害基礎年金1級(対象の場合)
・医療費助成(自立支援医療など)
・介護保険の自己負担軽減措置
・生活保護の加算対象
・タクシー券・ガソリン券、福祉タクシー割引、公共交通の運賃割引
・自動車税・軽自動車税の減免
・補装具の給付(車いす、義肢など)
・住宅改修補助
・NHK受信料免除(条件あり)
2級・両腕がほぼ使えない、もしくは片腕がまったく使えない
・両脚がほぼ使えない、もしくは片脚がまったく使えない
・立ち上がれない、正しい姿勢で座れない
・障害基礎年金2級(対象の場合)
・医療費助成
・福祉タクシー割引、公共交通の運賃割引
・自動車税・軽自動車税の減免
・補装具費の給付
・住宅のバリアフリー改修補助
・NHK受信料免除(条件あり)
3級・片腕がほぼ使えない
・片脚がまったく使えない
・歩行困難
・医療費助成(対象カテゴリーにより異なる)
・公共交通の割引(一部)
・自動車税減免(対象条件あり)
・補装具費給付(一部)
・住宅改修補助(自治体による)
4級・まったく使えない指や腕関節がある
・片脚がほぼ使えない
・発声、言語が不自由
・食べ物が飲み込めない
・医療費助成(自治体により対象)
・公共交通の割引(対象外の場合あり)
・補装具費の一部給付
・住宅改修助成(自治体による)
5級・ほぼ使えない指や腕関節がある
・片脚のひざ、あるいは関節がまったく使えない
・まっすぐ歩くことが困難
6級・親指、あるいは人差し指を含む2本の指がほぼ使えない
・脚にほぼ使えない関節がある
7級・腕や腕関節、指などに軽い障害がある
・両脚のすべての指がほぼ使えない、あるいは脚や足関節に軽い障害がある
(身体障害者手帳の交付対象外だが、7級の障害が2つ以上ある場合や6級以上の障害と重なる場合は交付される)

なお、自治体ごとに支援内容が異なる場合があるため、詳細はお住まいの市区町村の福祉窓口に確認してください。

精神障害者保健福祉手帳の等級と基準

精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患による日常生活や社会生活への支障度に応じて交付される手帳で、1~3級の等級が設けられています。身体障害者手帳の障害等級が身体機能の障害度で評価されるのに対し、精神障害者保健福祉手帳の等級は「生活能力の低下度」を基準に判断されるのが特徴です。

パーキンソン病は神経疾患であり、進行に伴って抑うつ、不安、意欲低下、認知機能の低下、幻視などの「非運動症状」が強く現れるケースがあります。これらの精神症状によって社会生活や対人関係、就労が難しくなった場合、精神障害者保健福祉手帳の対象となる可能性があります。

精神障害者保健福祉手帳を取得すると、公共料金等の割引、税金の控除・減免といった経済面の支援のほか、就労支援を受けることが可能です。この手帳は2年ごとに更新が必要ですが、症状が軽くなれば返還することもできます。

ほかの公的支援制度については、下記の記事をご覧ください。
パーキンソン病で要介護認定を受けるには?申請と認定調査のポイント

身体障害者手帳を取得するメリット・デメリット

パーキンソン病の患者さまが身体障害者手帳を取得すると、生活面で大きなメリットがありますが、一方でデメリットがないわけではありません。ここでは、メリットとデメリットの両方について解説します。

身体障害者手帳を取得するメリット

身体障害者手帳を取得することで、医療費助成、公共交通機関の割引、税金の減免、福祉用具の補助など、多岐にわたる公的支援を受けられるようになります。これらの支援は、患者さまご本人はもちろん、介護するご家族の経済的・身体的な負担軽減にもつながるでしょう。

特に就労面においては、障害者手帳を取得した方は障害者雇用制度の対象となるため、企業側も雇用しやすくなります。これに加えて雇用保険の特例も利用できる場合があり、より良い環境での就労につながる可能性があります。
ただし、手帳の等級によって利用できるサービスや支援内容は異なるため、ご自身の等級に応じたメリットを事前に把握することが重要です。

身体障害者手帳を取得するデメリット

身体障害者手帳を取得するデメリットのひとつは、「障害者」という区分に対する心理的な抵抗感を持つ方も少なくないという点です。すべての方が抵抗なく受け入れられるわけではありませんが、身体障害者手帳を持つメリットをよく理解し、前向きにとらえることをおすすめします。

もうひとつのデメリットとして挙げられるのは、手続きの負担です。取得時の手続きがわかりにくいと感じる方がいるだけでなく、症状の変動が見込まれる場合には再認定が必要となり、その際に再度診断書を提出するなどの手続き負担が生じることがあります。

身体障害者手帳の申請方法

身体障害者手帳の申請手続きをスムーズに進めるためには、全体の流れを把握し、必要な書類を漏れなく準備することが大切です。ここでは、申請方法を5ステップに分けて紹介します。

1. 福祉担当窓口へ相談し、必要書類を確認

まず、お住まいの市区町村の福祉担当窓口や、地域の相談支援事業所などに相談し、情報収集を行いましょう。制度の詳細や必要な書類を確認し、申請書などの様式を受け取ります。この段階で、患者さまの症状が手帳の対象となるか、専門家に相談することもできます。

2. 指定医に診断書(身体障害者診断書・意見書)を作成してもらう

申請には、指定医(都道府県知事などが指定する医師)が作成した「身体障害者診断書・意見書」が必要です。かかりつけの医師が指定医であるかを確認し、診断書を作成してもらいます。もし、かかりつけの医師が指定医でない場合は、厚生労働省が提供する「医療情報ネット(ナビイ)」で「身体障害者福祉法指定医の配置されている医療機関」を探すことができます。
診断書には、現在の症状や日常生活における動作能力などを正確に記載してもらうことが重要です。

3. 必要書類をそろえて窓口へ提出する

申請書、指定医による身体障害者診断書・意見書、顔写真、マイナンバー(個人番号)が確認できる書類など、必要な書類をすべてそろえて、お住まいの市区町村の福祉担当窓口に提出します。なお、居宅介護支援事業所(ケアマネージャー)は申請の相談に乗ることはできますが、手帳申請の窓口ではありません。
また、診断書には有効期限があることが多いため、注意が必要です。

4. 都道府県の障害支援区分認定審査会による審査を受ける

提出された書類は、都道府県や政令指定都市の障害支援区分認定審査会に送られます。審査会では内容にもとづいた審査を行い、障害の有無や程度を判断した上で適切な障害等級を認定します。

5. 審査結果の通知を受け、手帳が交付される

審査結果の通知は、申請者に郵送で届くのが一般的です。障害等級が認定された場合、後日、市区町村の窓口で身体障害者手帳が交付されます。
手帳は交付された時点で有効になりますが、医療費助成や福祉サービス、税制優遇などを利用するためには、別途申請が必要です。特に、介護保険や障害福祉サービスと併用する場合は、ケアマネージャーや相談支援専門員に相談することで、状況に応じた支援をスムーズに受けやすくなります。

パーキンソン病で身体障害者手帳を申請する際のポイント

パーキンソン病の患者さまが身体障害者手帳を申請する際は、病気の特性に応じたいくつかの注意点があります。認定基準や制度の仕組みを理解することで、スムーズな申請と継続的な支援につながるでしょう。

指定医に症状についてしっかり伝える

申請時には、指定医による診断書・意見書が必要です。診断書・意見書を作成してもらうときには、ご自身の日常生活での支障や症状の具体例を詳しく伝え、診断書に反映してもらうことが、適切な等級認定につながるポイントとなります。

身体障害者手帳の交付に関わる障害等級は、「障害等級認定基準」にもとづいて認定されます。この認定では、原則として障害が「永続する障害」であることを基準とするため、症状が固定していることが条件です。
しかし、パーキンソン病は症状が変動しやすい疾患であり、症状が固定していない場合は認定が難しいこともあります。指定医に診断書・意見書を書いてもらう際には、症状についてよく話し合ってください。
また、認定された場合も、症状の変動に応じて再認定が実施される可能性があることを知っておきましょう。

パーキンソン病の障害者手帳申請に年齢制限はない

障害者手帳の申請には年齢制限はありません。現在の生活に支障があるかどうかが申請の判断基準であり、85歳以上のご高齢の患者さまでも、症状に応じて申請が可能です。一方、障害年金の受給には65歳未満で初診が必要という年齢制限があるため、両者の違いを理解し、混同しないよう注意することが重要です。

身体障害者手帳と障害福祉サービスの違い

公的な障害者支援の仕組みとして「障害福祉サービス」がありますが、身体障害者手帳を持っていれば必ず障害福祉サービスを受けられるというわけではありません。障害福祉サービスを利用するためには、身体障害者手帳の申請とは別に申請が必要です。
障害福祉サービスの申請には障害支援区分の認定が必要になる点は身体障害者手帳と似ていますが、調査項目には違いがあります。パーキンソン病では身体面・生活面の支障が多岐にわたるため、手帳とサービスの役割を区別して理解し、申請しましょう。

障害者手帳を活用してパーキンソン病の生活を支えよう

障害者手帳は、パーキンソン病の患者さまの生活を支える上で非常に重要な公的制度です。手帳を取得することで、税制優遇や公共料金の割引といった経済的な負担軽減により生活しやすくなった方、公共交通機関の割引や自動車改造費の助成により外出する楽しみが増えた方もいらっしゃいます。また、就労面でもメリットがあります。

申請手続きには、医師による診断書・意見書や障害支援区分認定審査会の審査が必要です。まずはかかりつけ医や自治体の福祉窓口に相談し、焦らずに手続きを進めることが大切といえます。
また、障害者手帳で受けられる公的支援と、介護保険や障害福祉サービス、障害年金といったほかの制度は手続きや対象要件が異なるため、混同しないよう注意が必要です。どの制度を利用できるか迷う場合は、市区町村の福祉窓口や地域包括支援センター、相談支援専門員などに相談するといいでしょう。

なお、PDハウスにはパーキンソン病専門スタッフが在籍しており、身体障害者手帳の申請についてアドバイスいたします。資料請求やご見学は、こちらからお気軽にお問い合わせください。

参考:
身体障害者手帳(厚生労働省)
障害福祉サービスの利用について(全国社会福祉評議会)

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