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パーキンソン病の基礎

パーキンソン病で要介護認定を受けるには?申請と認定調査のポイント

パーキンソン病で要介護認定を受けるには?申請と認定調査のポイント

パーキンソン病は進行性の疾患であり、将来の生活や介護について不安を抱える患者さまやご家族も少なくありません。介護が必要になった際、公的な支援を受けるために重要なのが要介護認定です。

しかし、介護保険制度の仕組みや申請手続きが複雑でわかりにくいと感じる方も多いでしょう。この記事では、パーキンソン病と介護保険制度の位置づけ、要介護認定の申請手続き、正確に症状を伝えるための認定調査のポイントについて、わかりやすく解説します。

介護保険制度におけるパーキンソン病の位置づけ

要介護認定を受けた方は介護保険による公的サポートを受けることができますが、パーキンソン病患者の場合はどうなのでしょうか。ここでは、介護保険制度におけるパーキンソン病の位置づけと、ほかの公的支援との関連性について解説します。

パーキンソン病は特定疾病のひとつ

パーキンソン病は、介護保険制度において特定疾病のひとつに指定されています。そのため、40~64歳のパーキンソン病患者は、要介護認定されれば介護保険の対象となります。
パーキンソン病によって身体の動作障害や日常生活動作(ADL)の低下がみられる方は、要介護・要支援認定の対象です。進行度に応じて、訪問介護や通所リハビリ、福祉用具貸与などのサービスを利用することができます。

また、パーキンソン病でなくても、似た症状を呈する「パーキンソン症候群」のうち、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症も特定疾病です。これらの診断を受けた40~64歳の方も、要介護認定されれば介護保険が受けられます。

介護保険の原則

介護保険は、40歳以上の国民が加入する公的保険です。介護が必要な状態(要介護状態)になった場合に、所定の介護サービスを受けることができます。

介護保険の制度上、65歳以上の人を「第1号被保険者」、40~64歳の人を「第2号被保険者」と呼びます。第1号保険者は、要介護状態になったら、原因に関係なく介護保険によるサービスを受けることが可能です。第2号保険者は、要介護状態になった原因がパーキンソン病を含む特定疾病(16疾患)による場合に限り、介護サービスを受けることができます。

介護サービスには、自宅訪問や通所サービス、福祉用品サービスなどさまざまなものがあります。これらのサービスは、要支援1~要介護5までの要介護度によって受けられる種類や範囲が異なります。

パーキンソン病で介護保険を受けるメリット・デメリット

介護保険の要介護認定を受けることには、患者さまやご家族にとってメリットとデメリットがあります。
ここでは、パーキンソン病に特化した内容を記載していますが、一般の介護保険も流れはほぼ同じなので、パーキンソン病と診断されていない方もぜひご参考にしてください。

介護認定を受ける最大のメリットは、身体機能の低下を補うためのサービスを早い段階で導入できることです。パーキンソン病は進行性の疾患ですが、早期からリハビリなどを行うことで生活の維持がしやすくなるでしょう。また、訪問介護やデイサービスを利用できるのもメリットのひとつで、介護を行うご家族の身体的・精神的な負担が軽減され、金銭的な負担も公的な助成により抑えられます。

一方、デメリットとして挙げられるのは、申請手続きや制度が複雑で、わかりにくく感じる場合があることです。ご家族が、仕事や家事をしつつ申請手続きを行うのは負担になるかもしれません。

ほかの公的支援制度との連携

パーキンソン病患者が受けられる公的支援制度は、ほかにも「難病医療費助成制度」や「障害者手帳制度」「高額療養費制度」などがあり、それぞれ介護保険との併用が可能です。

<ほかの公的支援制度>
・難病医療費助成制度:医療費の自己負担が原則2割となる(所得額により月額自己負担上限額あり)
・障害者手帳制度:所得税や住民税の控除、公共交通機関の割引、福祉サービスの利用などが可能
・高額療養費制度:医療費の自己負担額が一定額を超えた場合に払い戻しが受けられる

パーキンソン病診断後に要介護認定を受けるまでの流れ

ここでは、パーキンソン病の診断後に要介護認定を受ける場合の流れをご紹介します。なお、ほかの病気や加齢で要介護認定を受けた後にパーキンソン病と診断されるケースもありますが、ここでは割愛します。

1. 必要な書類をそろえて申請

要介護認定を申請したいときは、まずお住まいの市区町村(役所・役場)の介護保険担当窓口で相談するのが一般的です。窓口で「要介護認定の申請をしたい」と相談すると、地域包括支援センター(地域連携支援センター)などを紹介してもらえるほか、申請手続きのサポートも受けられます。地域包括支援センターでは、ケアマネージャーを手配してもらえます。

申請には、以下の書類が必要です。なお、ケアマネージャーや介護保険施設による代行申請も可能です。

<主な必要書類>
・認定申請書など、市区町村が指定する書類
・第1号被保険者(65歳以上)の場合:介護保険被保険者証
・第2号被保険者(40~64歳)の場合:医療保険情報確認書類(従来の健康保険証または資格確認書)の写し。マイナ保険証を利用していれば不要の場合もある

2. 認定調査

申請後、市区町村の認定調査員が自宅などを訪問し、心身の状態や介護の必要性について聞き取りを行います。調査項目は「身体機能」や「生活機能」、「認知機能」など約70項目にわたり、日常生活でどの程度の介助が必要かを確認します。

3. 主治医意見書の作成

認定調査の結果と併せて、主治医が作成する「意見書」が必要です。この意見書には、パーキンソン病の診断内容、症状の進行度、日常生活動作への影響などが記載されます。

主治医意見書は、市区町村が主治医に作成と提出を求めるため、申請者が主治医に依頼する必要はありません。しかし、事前に主治医に「要介護認定の申請をする」旨を伝えておくと、より適切な内容で記載してもらいやすいでしょう。

4. 介護認定審査会による判定

認定は一次判定(コンピューターによる判定)と二次判定(介護認定審査会による審査)の2段階で決定されます。一次判定の結果と主治医意見書などをもとに、介護認定審査会で専門職(医師、看護師、介護支援専門員など)が総合的に審査します。判定は、「要支援1・2」または「要介護1~5」の7段階です。

5. 認定結果の通知

申請から概ね30日程度で、「介護保険認定結果通知書」と「介護保険被保険者証」が郵送で届きます。非該当(自立)と判定された場合でも、症状が進行したときや生活状況が変わったときに再申請できます。また、判定結果に納得がいかない場合は、都道府県の介護保険審査会に「不服申立て」を行うことも可能です。

6. ケアプランの作成とサービス利用開始

要介護認定を受けたら、介護サービスを利用するための「ケアプラン(介護サービス計画)」を作成します。

ケアプランの作成は「居宅介護支援事業所」に所属するケアマネージャーが担当します。本人やご家族の希望・生活状況を踏まえたケアプランが完成したら、各介護サービス事業者と契約し、訪問介護やデイサービス、福祉用具レンタルなどの利用が可能です。
パーキンソン病の場合、身体機能の変化が段階的に進むため、症状や生活状況に応じて定期的にケアプランを見直しましょう。

介護認定調査のポイント

状態に合った要介護認定を受けるために、認定調査員との面談は重要なポイントです。パーキンソン病特有の状態の変動や、見た目ではわかりにくい症状があることで、本来の状態とは違う調査結果にもなりかねません。ここでは、介護認定調査時にご家族が情報提供する際のポイントを紹介します。

パーキンソン病特有の状態の変動を上手に伝える

介護認定調査の際は、「できること」だけでなく、「手助けがあればできる」「日によってできないこともある」という実態を具体的に伝える必要があります。また、パーキンソン病の症状には薬の影響や時間帯による変動があり、その状況を正確に伝えることが重要です。

<認定調査員に伝えるポイント>
・薬を服用した直後(オン時)と、数時間後(オフ時)の、手足のこわばりや動作の違い
・1日のうちで「動ける時間帯」と「ほとんど動けない時間帯」がある
・歩行や着替え、食事、トイレなど、日常生活動作ごとに介助が必要な時間帯がある
・疲労やストレス、気温変化などによって症状が悪化する場合がある

非運動症状(精神症状、認知機能低下など)を正確に伝える

パーキンソン病の症状は、大きく「運動症状」と「非運動症状」に分けることができます。運動症状は動作が遅く・小さくなる、ふるえ、筋肉のこわばり、姿勢が保てないことなどで、非運動症状は便秘、精神症状、認知機能低下などです。
症状によっては、患者さまご本人には自覚がなく、ご家族が気づいている場合があります。怖がらずにご家族に確認して協力を得ることも、上手に伝えるポイントのひとつです。

特に非運動症状は外からは見えにくいため、普段の生活を見ているご家族が正確に伝える必要があります。
非運動症状をより正確に伝えるには、ご家族が日頃の状況を客観的に記録した「介護日誌」を作成し、提示することが有効です。介護日誌に記載しておけば、調査員に日常の状態を正確に伝えることができ、より実態に即した要介護認定につながります。

<介護日誌に記載する主な内容>
・睡眠状態:夜間のトイレ回数やレム睡眠行動障害の有無と頻度
・精神状態:意欲低下や不安が強い時間帯、介護拒否の有無
・認知機能:薬の飲み間違い、日時などの認識低下が見られる具体的なエピソード
・幻覚・妄想:実際には存在しない人や物が見える・聞こえる頻度や時間帯
・感情の変化:急な怒りや涙など、感情の起伏が激しい場面の記録

パーキンソン病で介護認定を受けるには、事前準備が大切

パーキンソン病は、進行の仕方や症状の出方が人によって大きく異なり、介護認定の結果にも差が出やすい疾患です。介護認定調査では、その日の調子だけで判断されないように、日常の状態を正確に伝えるための準備が重要となります。

パーキンソン病と向き合いながら安心して生活を続けるためには、制度の仕組みを理解し、早めに準備・相談することが大切です。地域包括支援センター(地域連携支援センター)や医療機関にも積極的に相談し、無理のない介護環境を整えていきましょう。
なお、PDハウスにはパーキンソン病専門スタッフが在籍しており、介護認定申請についてアドバイスいたします。資料請求やご見学は、こちらからお気軽にお問い合わせください。

参考:
介護保険制度について(厚生労働省)
公表されている介護サービスについて(厚生労働省)
介護認定審査会委員テキスト 2009(厚生労働省)
要介護認定等に係る介護認定審査会による審査及び判定の基準等に関する省令(厚生省令第五十八号)
公的介護保険で受けられるサービスの内容は?(公的財団法人生命保険文化センター)

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