PHハウスオンライン PHハウスオンライン

パーキンソン病の知識

パーキンソン病の基礎

パーキンソン病のリハビリとは?種類や効果、自主リハビリを解説

パーキンソン病のリハビリとは?種類や効果、自主リハビリを解説

パーキンソン病と診断されると、「どのくらい体が動きにくくなるのだろう」「自分でできることが減ってしまうのではないか」と不安に感じる患者さまやご家族は少なくないでしょう。

パーキンソン病の治療では、薬物療法に加えてリハビリテーション(リハビリ)を継続することが、症状の進行をできるだけ遅らせ、日常生活を維持するための重要なポイントです。
この記事では、パーキンソン病のリハビリの種類や効果、リハビリを受ける際のポイントに加えて、家庭で続けやすい自主トレーニングの例も紹介します。

パーキンソン病の治療は薬物療法とリハビリの2本柱

パーキンソン病の治療は、薬物療法だけでなくリハビリも平行して進めていくことが大切です。
薬物療法は脳内のドパミンを補ったり、ドパミンの働きを助けたりして症状をやわらげる目的で行われます。一方、リハビリは入浴、着替え、トイレの使用、食事といった日常生活動作(ADL)をできるだけ自分で行い、生活の質(QOL)を維持することを目指して行われます。

パーキンソン病の薬については、こちらの記事をご覧ください。
パーキンソン病の薬とどう向き合う?種類や服用の注意点などを解説

薬物療法とリハビリの関係

薬物療法の目的は、パーキンソン病の主な運動症状である動作緩慢・無動、振戦、筋強剛(筋固縮)、姿勢保持障害などを改善することです。薬によって脳内のドパミンの状態が整うと、楽に動き出せたり、体のこわばりがやわらいだりします。

一方、リハビリの目的は筋肉や関節などを動かすことによる運動機能の維持です。さらに、体を動かして達成感や安心感が得られれば、非運動症状(気分の落ち込みや不安、睡眠障害、認知機能の低下など)にも良い影響が期待できます。

薬物療法とリハビリは、どちらか一方だけで完結するものではありません。薬によって動きやすさが維持されている時間帯にリハビリを行い、正しい姿勢や歩き方、手足の使い方を繰り返し練習することで、体がその動き方を覚えやすくなると考えられています。
薬物療法とリハビリを上手に組み合わせることが、より高い効果を得るために大切なのです。

パーキンソン病の治療にリハビリは不可欠

パーキンソン病は進行性の病気であり、時間の経過とともに症状が変化していきます。その状況で、薬物療法だけで筋力や柔軟性、バランス能力を保つことは容易ではありません。特に、すくみ足や姿勢保持障害などの症状は、薬だけでは十分に改善しにくい場合もあります。

リハビリは、関節の動きを保つストレッチや筋力強化訓練、バランス訓練、歩行訓練などを専門職のサポートのもとで行います。こうして筋力や柔軟性、姿勢の安定性を保つことが、転倒リスクの軽減や日常生活動作の維持につながるのです。

また、リハビリは運動機能の維持を目的とするため、継続して取り組むことが重要です。通院や通所でのリハビリだけで継続することは困難なため、家庭での自主トレーニングも組み合わせながら続けていく必要があります。

パーキンソン病のリハビリの種類

パーキンソン病のリハビリには理学療法、作業療法、言語聴覚療法の3つがあります。運動機能の維持のためには、これらのうちいずれかだけを実施するのではなく、偏りなく組み合わせて実施することが欠かせません。
それぞれ、大まかな内容と目的を見ていきましょう。

理学療法(PT)

理学療法は運動機能の改善や維持を目的としたリハビリで、理学療法士が担当します。具体的な内容は、関節可動域訓練、ストレッチ、基本動作(寝返り、起き上がり、立ち座り)、筋力強化訓練、バランス訓練、歩行訓練などです。

パーキンソン病では、すくみ足や小刻み歩行、姿勢保持障害など、歩行や姿勢に関する症状が出やすくなります。理学療法では、足をしっかり前に出す練習や、大きな動きを意識した歩き方、転倒しにくい姿勢のとり方など、実際の動作を想定した練習を繰り返します。
また、ストレッチや関節可動域訓練を通して筋肉のこわばりをやわらげることで、体を動かしやすい状態に整える効果も期待できるでしょう。

作業療法(OT)

作業療法は、日常生活動作(ADL)や手段的日常生活動作(IADL:買い物や家事など)の改善・維持を目指すリハビリで、作業療法士が担当します。食事や着替え、入浴、トイレ動作などの練習に加え、ボタンのかけ外しや箸の使用といった手指の細かい動きの練習も行います。

パーキンソン病によって動作が緩慢になったり、手先が思うように動かなかったりすると、「今までできていた家事が負担に感じる」「着替えに時間がかかる」といった困りごとが増えがちです。作業療法では、日常生活での動作を細かいステップに分けてひとつずつ練習したり、道具や環境を工夫したりしながら、「自分でできること」を少しでも長く保てるよう訓練します。

また、手工芸や創作活動などを通じて、楽しみや達成感を感じながらリハビリに取り組めることも、作業療法の大切な役割です。活動を通じて意欲や自発性が高まると、外出や人との交流の機会が増え、気分の安定にもつながります。

言語聴覚療法(ST)

言語聴覚療法は、発声や嚥下(飲み込み)機能の改善・維持を目的としたリハビリで、言語聴覚士が担当します。声を出す練習や発話訓練、表情筋の体操、飲み込みの練習などが主な内容です。

パーキンソン病では、声が小さくなって相手が聞き取りにくくなったり、表情が乏しく見えたり、飲み込みにくさから食事に時間がかかったりすることがあります。これらの症状が進むと、会話のしづらさや食事の不安から、人との関わりを避けてしまう方もいるかもしれません。また、飲み込みにくさにより誤嚥性肺炎(食べ物や唾液などが誤って気管に入ることで引き起こされる肺炎)を招くリスクもあります。

言語聴覚療法では、声を大きくはっきり出す練習や、唇・舌・頬などをしっかり動かす口腔体操、むせにくい姿勢や食事形態の工夫などをとおして、コミュニケーションと食事の安全を守ることを目指します。パーキンソン病に特有の仮面様顔貌の予防・改善や、誤嚥性肺炎の予防にもつながるため、早めに取り組みたいリハビリです。

リハビリを受ける際のポイント

リハビリは、専門職と連携し、無理のない目標を設定して行うものです。ここでは、リハビリを受けるときに意識しておきたいポイントを紹介します。

症状や状態に応じたリハビリプログラム

リハビリを受ける際には、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの専門職と相談し、ご自身の症状や状態に応じたプログラムを作成してもらうことが重要です。パーキンソン病のリハビリでは、「ホーン・ヤールの重症度分類」などを目安にしながら、どのようなリハビリ内容が適しているかを考えていきます。

ホーン・ヤールの重症度分類については、こちらの記事をご覧ください。
パーキンソン病の重症度分類とは?「ホーン・ヤールの重症度分類」と「生活機能障害度分類」を具体的な症状とともに解説

■ホーン・ヤールの重症度分類を目安にしたリハビリ内容の例

重症度理学療法作業療法言語聴覚療法
ステージ1・ストレッチ
・筋力強化訓練
・バランス訓練(立位)
・手指の細かい動作の練習(ボタンのかけ外し、箸の使用)
・IADL訓練(買い物、家事など)
・発声・発話訓練
・表情筋の体操
ステージ2・筋力強化訓練
・バランス訓練(立位・座位)
・歩行訓練
・ADL訓練(食事、着替え、入浴など)
・IADL訓練(買い物、家事など)
・発声・発話訓練
・表情筋の体操
・嚥下訓練
ステージ3・関節可動域訓練
・筋力強化訓練
・バランス訓練(立位・座位・四つ這い)
・歩行訓練
・ADL訓練(食事、着替え、入浴など)
・IADL訓練(買い物、家事など)
・発声・発話訓練
・表情筋の体操
・嚥下訓練
ステージ4・関節可動域訓練
・筋力強化訓練
・バランス訓練(立位・座位・四つ這い)
・歩行訓練
・ADL訓練(食事、着替え、入浴など)
・IADL訓練(買い物、家事など)
・発声・発話訓練
・表情筋の体操
・嚥下訓練
ステージ5・関節可動域訓練
・基本動作訓練(寝返り・起き上がり・立ち上がり)
・バランス訓練(座位)
・ポジショニング
・ポジショニング
・残存機能の確認と訓練(動作手順の確認など)
・発声訓練
・嚥下訓練
・ポジショニング

一般的には、週に2〜3回程度のリハビリを継続的に実施することが推奨されます。ただし、患者さまの症状や生活環境、目標によって適切な頻度は異なるため、主治医や専門職と相談しながら無理のないペースを検討しましょう。

専門職との関わり

リハビリの効果を維持するためには、専門職による定期的な評価・指導が欠かせません。動き方の癖は自分では気づきにくいため、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が客観的に評価しながら、必要に応じてプログラムを見直していきます。

リハビリ中に痛みや強い疲労感、体調不良を感じたときは、我慢せずにすぐ専門職に伝えることが大切です。専門職は、負担の少ない動きに変えたり、回数や時間を調整したりといった安全にリハビリを継続する方法を、患者さまと一緒に探していきます。

また、リハビリの効果を最大限に引き出すためには、薬物療法とのタイミングを調整することも重要です。薬の効果がよく出ている時間帯(オンの時間)にリハビリを行うと、動きやすい状態で練習することができます。そのため、医師や看護師、薬剤師、リハビリ専門職の連携によって、服薬スケジュールとリハビリの時間をうまく組み合わせていくことが望ましいといえるでしょう。

リハビリの目標

リハビリを続けていくうえでは、患者さまご本人の前向きな気持ちと、ご家族のサポートが大きな力になります。その際、「何のためにリハビリをするのか」という目標を具体的に決めておくことが大切です。

リハビリの目標は大きくなくて構いません。例えば、「廊下を往復して歩けるようになりたい」「近所の公園まで散歩に行きたい」「外出して映画を見に行きたい」といった、日常生活に即した目標を立てると、達成したときの喜びを感じやすくなります。今の自分の状態から少し背伸びをしたくらいの目標を、専門職と相談しながら決めていくことが大切です。

ただし、目標に向かって無理をしすぎると、疲労や転倒につながるおそれがあります。がんばりすぎず、「楽しみながら続けられるペース」を見つけることもリハビリの一部と考えて、長く付き合っていきましょう。

専門リハビリに加えた自主トレーニング

生活の質(QOL)を高めるためには、専門職によるリハビリが大きな支えになりますが、日々の生活のなかでどれだけ体を動かせるかも大切なポイントです。専門リハビリで学んだ方法を家庭での自主トレーニングにとり入れ、無理のない範囲で継続していくことが、機能の維持・改善につながります。

専門施設では、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの専門職の指導のもとで、日常生活にもとり入れやすい訓練を体系的に学ぶことができます。そのうえで、そこで習った運動や体操を、自宅での自主トレーニングとして続けていくイメージです。

ここでは、家庭で取り組みやすい自主トレーニングの例を3つ紹介します。いずれも、体調やその日のコンディションに合わせ、痛みのない範囲で行うようにしてください。

歩行練習

歩行練習では、足を意識的に高く上げ、リズムを取りながら歩き、かかとからしっかり接地することを心掛けるといいでしょう。すくみ足が出やすい方は、床にテープやマットなどで目印をつけ、その印を一つひとつまたぐように歩くと、足を出しやすくなることがあります。

また、一定のリズムの音楽を聴きながら歩くと、足の運びが整いやすい方が多いようです。自宅の廊下や安全な場所で、短い距離から少しずつ始め、毎日短時間でも継続すると効果が期待できます。疲れを感じたら無理をせず、途中で休憩をはさみながら取り組んでください。

ストレッチ

ストレッチは、筋肉のこわばりをやわらげ、関節の可動域を維持するために重要なトレーニングです。特に、首(頸部)、背中や腰などの体幹、手や腕、股関節まわりは、こわばりが出やすい部位のひとつです。

一日数回、イスに座った状態やベッドに寝た状態で、無理のない姿勢で全身をゆっくり伸ばすことを意識してみてください。動作を大きくしようと急に強く引き伸ばすのではなく、「気持ちよく伸びている」と感じる範囲で、呼吸を止めずに行うことがポイントです。
痛みが出る方向には無理に動かさず、不安がある場合は事前に理学療法士などの専門職にやり方を確認しておきましょう。

口腔体操

口腔体操は、唇や舌、頬などをしっかり動かすことで、発声や飲み込みに関わる筋肉を維持・改善する体操です。パーキンソン病では、声が小さくなる、はっきり話しにくくなる、飲み込みにくさを感じるといった症状がみられることがあり、早めの対策が大切です。

例えば、「あ・い・う・え・お」と大きく口を開けて発音したり、頬をふくらませたりすぼめたりする動き、舌を前後左右にゆっくり動かす体操などがあります。また、朗読を通じて声を通りやすくするといったリハビリも効果的です。言語聴覚士の指導を受けつつ、家庭でも毎日短時間ずつ続けることで、声の出しやすさや飲み込みやすさの維持につながるでしょう。

口腔体操については、下記のYoutubeチャンネルをご覧ください。
口腔体操 言語聴覚士による口腔体操とリハ体操

リハビリと上手に付き合い、日常生活の安心を守っていこう

パーキンソン病のリハビリには、理学療法、作業療法、言語聴覚療法の3つがあり、それぞれ運動機能や日常生活動作、発声・嚥下を維持する役割を持っています。薬物療法とリハビリを組み合わせて継続的に取り組むと、運動機能や日常生活動作の維持・改善だけでなく、症状の進行をできるだけ遅らせることも期待できます。

リハビリを受ける際は、専門職と相談しながら症状や状態に合ったプログラムを作成してもらい、無理のない目標を共有しておくことが大切です。通所・通院でのリハビリに加え、家庭での自主トレーニングも無理のない範囲で行い、継続的なリハビリを目指しましょう。

PDハウスには理学療法士、作業療法士、言語聴覚療法士をはじめとするパーキンソン病専門スタッフが在籍しており、効果的なリハビリを継続できます。さらに、看護師や介護士といった専門職とも連携が可能で、患者さまやご家族の状態に合わせたリハビリプログラムについてアドバイスいたします。資料請求やご見学は、こちらからお気軽にお問い合わせください。

参考:
パーキンソン病診療ガイドライン2018(日本神経学会)

おすすめ記事

その他の医師・専門家

  • 運営顧問・共同研究

    服部 信孝先生 (元 順天堂大学医学部脳神経内科 教授)

    順天堂大学 医学部脳神経内科

  • 運営顧問・共同研究

    坪井 義夫先生 (元 福岡大学脳神経内科 教授)

    医療法人徳隣会 つつみクリニック福岡 パーキンソン病専門外来センター センター長
    順天堂大学大学院医学研究科 PD長期観察共同研究講座 特任教授

  • 運営連携

    松本 禎之先生 (前北野病院副院長)

    脳神経ホームクリニック
    京都大学医学部脳神経内科 臨床教授
    (前北野病院副院長)

  • 運営顧問

    高橋 良輔先生

    京都大学 総合研究推進本部(KURA))特定教授
    生命・医薬系部門長

  • 共同研究

    髙橋 牧郎先生

    関西医科大学神経難病医学講座 教授
    京都大学医学部脳神経内科 臨床教授

  • PDハウス栄養管理アドバイザー

    山口 美佐

    一般社団法人 NUTRITION SUPPORTASSOCIATION 代表
    テニス栄養®・テニス栄養学® 代表

PDハウスの
資料請求・見学予約

WEBフォームでの
お申込み

WEBで申込む

お電話での
お申込み

0120-540-367

受付時間:9:00〜17:00
(年末年始除く)

電話で申込む
採用ページへ戻る
LPに戻る